競艇のレースにおいて勝敗を大きく分けるのが「モーターの性能」です。
モーターは原則として全て同じ設計で製造されていますが、100パーセント同じ性能かと言われればそのような事はなく、各モーターはそれぞれ微妙な性能差というものがあります。
更にモーターやプロペラは規則の範囲内で各選手が自由に整備できるので、整備が得意な選手が整備を施したモーターやプロペラは他のモーターとは明らかに直線での伸びが変わるため、整備力も選手の成績に大きく影響します。
本記事ではその中のプロペラに関して、かつて適用されていた「持ちペラ制度」について知らない人にも分かりやすく解説します。
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目次
かつて選手が自由にプロペラを持ち込める時代があった
(引用元:BOAT RACE オフィシャルウェブサイト)
2023年時点、競艇のボートに搭載するモーターとプロペラは競艇場側が保管しており、レース前の抽選によって使用するモーターやプロペラが配布されます。
しかしかつてプロペラに関しては選手個人が所有し、自由にレース場に持ち込める時代がありました。
持ちペラ制度とは
持ちペラ制は1988年5月に導入されましたが、後述する理由によって2012年4月に制度そのものが廃止されることとなりました。
とはいえ、2023年時点で持ちペラ制度が廃止されてから10年ほどしか経過していないことを考慮すると、比較的最近まで実施されていた制度であるといえるでしょう。
持ちペラ制度中には各選手がプロペラの研究に明け暮れた
持ちペラ制が採用されていた期間というのは、プロペラに関しては特に規則というものは儲けられておらず、各選手が自由に自分のプロペラを持ち込めるということもあって、この制度中は多くの選手がプロペラ研究に明け暮れました。
ある選手はより鋭角にターンが回れるようなプロペラを作る前の研究をし、また別の選手はとにかくスタートダッシュで先頭に立つことを重要視して「初速で一気にボートが伸びるプロペラ」を開発するためにレースの休み中は試作プロペラの製造を繰り返していました。
今よりも自由度はずっと高いですが、その分研究を怠ることはそのまま勝率低下につながるため、競艇選手にとっては休む間もない時期だったといえるでしょう。
「ペラグループ」を結成して共同研究する選手も
持ちペラ制では各レースにおいて1人5枚までプロペラを持ち込む事ができました。
当時からモーターは抽選制だったため、各選手はどのようなモーターが来ても対応できるように5つのプロペラは微妙に長所が異なっているものを用意する必要があります。
ところが選手個人で複数のプロペラの研究をするというのは非常に大変です。
そこで普段から親交がある選手同士はこの時期共同でプロペラを研究・開発する「ペラグループ」というチームを結成し、チーム内で優れた性能のプロペラを共用するといった手段を取っていました。
このペラグループの誕生によって、更にプロペラの個性化が進み、例えばほかの選手と比べると明らかに巨大なプロペラを製造して持ち込む選手が出てくるなど、とにかく各選手によって使用するプロペラの性能が全然違っていたのです。
レースを予想する側も当然、各選手がどのようなプロペラを所有しているかを研究する必要がありました。
持ちペラ制度のメリット
持ちペラ制度が合った時期は今とはルールそのものが大きく違っていることは理解してもらえたでしょうか。
このルールの違いはそのままレースそのものの大きな違いにも繋がります。
持ちペラ制度が導入されたことによってレース自体にはどのようなメリットが生まれたのでしょうか。
各選手の個性が出てレースが面白くなる
持ちペラ制では各選手が自由に自分のプロペラを開発することが出来たので、今よりもずっと選手によって走り方に差が出てきていました。
特に大きかったのは「アウト屋の躍進」ではないでしょうか。
生粋のアウト屋として今でも現役を続行している阿波勝哉選手ですが、持ちペラ制が採用されていた時期はまさに絶頂期とも呼べる活躍で、圧倒的に不利な6号艇からのスタートという状況にも関わらず、徹底的にスタート時の伸びを高めた独自のプロペラを使用することによって勝率6点台という考えられないような好成績を叩き出していました。
そのほかの選手もとにかく他の選手とは全く異なる走りをしていたため、レースを観戦する側としては非常に見ごたえのある面白いレースがこの時期はたくさんありました。
予想外の結果になる事が多かった
また、それぞれ独自の性能に特化したプロペラを複数枚所有していたということもあって、レースによってスピードの伸びなどが大きく変わるため、出走表の数値だけでは各選手の本当の実力を判断しにくい時代でもありました。
そのため、多くの選手が上位にはいるだろうと予想していた選手がまったく振るわなかったり、逆に見向きもされなかった選手が会心の走りをして優勝するなど、予想外の結果になる事が多かったのも持ちペラ時代の特徴であり、穴党から見れば大きなメリットだったといえるでしょう。
持ちペラ制度のデメリット
持ちペラ制はレースそのものに関しては意外性や個性が発揮されることからかなりのメリットがありましたが、その一方で無視できない大きなデメリットが多々あったのも事実です。
持ちペラ制が採用されることによるデメリットについて本項目では解説していきます。
各選手の人脈や資金力が結果に直結する
持ちペラ制では自由にプロペラの研究、製造が可能ではありましたが新しくプロペラを研究するのには時間も費用もかかります。
A級選手など資金が豊富な選手は自ら研究するだけではなく、プロペラを製造する専門の職人に対しても自分にとって最適なプロペラの開発を依頼していました。
職人側にとっても有名選手からプロペラの研究や製造を依頼されることは実績に繋がるメリットがあったことはいうまでもありません。
そして有名選手は資金面だけではなく人脈も広いため、実力ある選手と強力なペラグループを結成し、そちらでも共同開発や共同研究を進めていくことができます。
一方資金面で苦労しているB級選手や人脈のない新人選手はなかなか他の人に協力してもらいながらプロペラを研究することができません。
したがって、実力上位の選手たちは豊富な資金力と人脈を武器に強力なプロペラを作成してより勝ち星を積み重ねることができる一方、実力下位の選手はなかなか強いプロペラを作れないため、ただでさえ勝つ事が難しいのにプロペラの研究分が更にレース結果に影響し、差が出てきます。
つまり持ちペラ制が採用された事により、実力上位の選手と下位の選手との格差がより顕著になってしまったという事になります。
これは持ちペラ制が採用されていた時代において最大のデメリットと言えるでしょう。
初心者には予想が非常に難しい
持ちペラ制度が採用された時代は各選手が5枚までプロペラを持ち込む事ができました。
そのためレース毎に最適なプロペラを使っていたため、前回とは全く違う走りをするという事が日常茶飯事であり、それがレースの面白さに拍車をかけていた事は事実です。
ところが初心者からすると、出走表に記載されている過去のデータはほぼアテにならないも同然なので予想が非常に難しく、いくら舟券を買っても的中しないといった事態になりかねません。
結果として持ちペラ制は玄人にとっては更に競艇の魅力を感じられる精度であった一方、初心者からすると競艇はとっつきにくい競技となってしまい、なかなか新規ファンが定着しないといった時代であったのではないでしょうか。
持ちペラ制度が廃止となった経緯と廃止後のプロペラ調整
前述の通り、持ちペラ制は2012年4月をもって廃止となり、以降再開される兆しはありません。
持ちペラ制が廃止された理由として、日本モーターボート協会からは以下のような説明がなされました。
「選手の持ちペラ制度は、選手のプロペラ修整技術向上により迫力あるレースの具現化に寄与した反面、モーターと選手の持ちペラがどのようにマッチングするかが複雑で推理が難しい」
説明文を見る限り、先程紹介した持ちペラ制のデメリットのひとつ、「初心者には予想が難しい」というのが持ちペラ制廃止の決定打となったようです。
結論から言えば、持ちペラ制は新規顧客が離れていってしまう可能性が非常に高いため廃止されたと考えるのが妥当でしょう。
持ちペラ制が廃止となってからは、モーターとセットでの貸し出し制となっていて、調整の際もかなり厳しい制限が課せられています。
持ちペラ制が採用されていた頃は金属製ハンマーを使うことも認められていましたが、現在は木製ハンマーしか使う事ができません。
持ちペラ制度廃止についてファンの意見は
持ちペラ制が廃止された事によって公平さが保たれることになった結果、出走表のデータをレースの予想に活用する可能となったため、競艇ファンの多くは「事前情報で予想がしやすくなった」と概ね好意的に受け止めている人が多いようです。
現在競艇場は次々に新規ファンを獲得して驚異的な成長を遂げていますが、もし持ちペラ制が継続されていたならここまで売り上げは伸びなかったでしょう。
しかしその一方で古くからの玄人ファンは、「レースに意外性がなくなってつまらなくなってしまった」と否定的な意見が持ち上がっているのもまた事実です。
持ちペラ制度廃止について選手側の意見は
では実際に持ちペラ制を経験してきた選手は廃止となった事をどのように受け止めているのでしょうか。
結論から言えば、大半の選手は廃止になって良かったという感想を述べています。
というのも前述した通り、持ちペラ制が適用されていた頃はプロペラの研究をしなければ勝ち続ける事ができなかったので、休日中はプロペラの研究に明け暮れなければならず、まさに「休みなし」といった状況下でした。
持ちペラ制が廃止された現在ではその状況からは解放されています。
しかしアウトコースから一気に内側の艇をまくるという豪快な戦法を得意とする「アウト屋」にとって、持ちペラ制の廃止は死活問題となるほどの変更となりました。
支給された厳しい制限のあるプロペラでは本来の力を出す事ができず、多くのアウト屋が通常走行に転向せざるを得なくなっています。
現在もアウト屋として現役で戦い続けているのは阿波勝哉選手のみではないでしょうか。
成績で見ても持ちペラ制が採用されていた頃は5点台後半〜6点台後半だったのが、廃止後は4点台後半〜5点台後半と大きく低下してしまっています。
まとめ
持ちペラ制は1988年から2012年までの約24年間採用されていた制度です。
その時期は選手が各自自由にプロペラを作成し、レースに持ち込む事ができていました。
その結果個性的な走りをする選手がとても多くなり、レースを観戦している側からするとレースそのものがとても面白いものとなっていましたが、その一方で資金が豊富で人脈が広い選手は「ペラグループ」を結成して共同で研究したり、専門の職人にプロペラの製造を依頼できるなど、実力ある選手とそうでない選手との格差は開く一方でした。
更にプロペラを5枚まで持ち込めるという事もあってプロペラを変えると走りが大きく変わるため、予想する側からするとレース展開を考えるのが非常に困難になるという弊害も生まれました。
その結果競艇全体の売り上げが伸び悩んだため、持ちペラ制は2012年4月をもって廃止となり、現在プロペラはモーターとセットで支給されています。
多くの選手やファンが持ちペラ制の廃止を歓迎する一方で、「アウト屋」と呼ばれている選手たちは一気に苦境に立たされ、やむを得ず戦法を変えた選手も数多く出てきました。
持ちペラ制は賛否両論あったものの、競艇の歴史を語る上では外す事のできない時期であった事は間違いありません。