競馬コラム

重馬場で活躍する血統とは?ダート・芝・距離別などそれぞれ紹介!

重馬場で活躍する血統とは?ダート・芝・距離別などそれぞれ紹介!

競馬は屋外で実施される競技ということもあって、天候でレース結果が大きく変わる競技です。
特に雨が降ってコースに含まれる水分量が多くなった場合は晴れている時と大きく予想を変更する必要が出てくるでしょう。

本記事では重馬場という状態になった場合、レースにどのような影響を与えるのか、そして重馬場が得意といわれている種牡馬はどれかについて詳しく解説します。

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競馬の予想をするのに重要な要素のひとつ「血統」とは?

競馬の予想をするのに重要な要素のひとつ「血統」とは?

競馬がほかの公営競技と大きく異なる点、それは「血統」という概念が存在することです。
競馬はその名前の通り、レース用に訓練された「競走馬」がコースを走ることで勝敗を競う競技です。

1頭の競走馬が誕生するためには父馬と母馬が必要で、誕生した競走馬は父馬と母馬の能力や特徴を受け継いだ状態で誕生します。
父馬である「種牡馬」や母馬である「繁殖牝馬」が持っている特徴の事を「血統」といいます。

血統を知ることでその仔馬が得意な条件やコースなどをあらかじめ把握することができるため、レースの展開予想がしやすくなり、予想精度が大きく上昇します。

ただし、親馬から能力を100パーセント継承するというわけではなく、仔馬には仔馬自身の特徴というものも必ず現れます。
血統を踏まえつつ、その競走馬自身の特徴も加味しながら予想するというのが、血統を使った正しい予想方法です。

重馬場になると条件はどう変わる?

重馬場になると条件はどう変わる?

競馬場は大きく分けると、以下4つの馬場状態に分けられています。

競馬場における4種類の馬場状態

  • 良馬場
  • 稍重
  • 重馬場
  • 不良馬場

それぞれの馬場状態は芝あるいはダートがどれだけ水分を含んでいるかで決められています。
良馬場は晴れている状態の馬場を指していて、基本的には良馬場であることを条件にしてレース予想をすることが多いです。

稍重は良馬場よりも水分を含んだ状態ではありますが、正直良馬場と稍重ではそこまで大きく条件は変わらないため、予想を変える必要はありません。

続いて今回詳しく解説する「重馬場」ですが、重馬場は稍重よりも水分を含んだ状態の事を指します。
その日の朝からずっと雨が降っている状態ならば、レース後半には重馬場になることが多いですし、レース直前まで雨が降っていた場合にも重馬場での開催となりやすいです。

つまり重馬場とは雨が現時点で降っている時の馬場状態であると認識しておけばよいでしょう。
良馬場と重馬場では条件が大きく異なるので、予想は「重馬場陽」の予想に変えておいたほうがよいです。

具体的に良馬場から重馬場になると条件はどのように変化するのでしょうか。
重馬場になると、芝コースとダートコースでは影響が大きく変わります。

まず、芝コースで良馬場から重馬場になると、芝が水分を多く含むので、走るのにパワーが必要になります。
パワーが必要ということは、同じコースを走っていても良馬場よりも重馬場のほうがスタミナを多く消費するので、芝コースが重馬場になると、スピード型よりもパワー・スタミナ型の競走馬が好走しやすいということです。

一方ダートコースは芝コースとは真逆で、芝コースは水分を含むとパワーやスピードが必要になりますが、ダートコースは水分を含むと足の抜けが良くなり、パワータイプよりもスピードタイプの競走馬のほうが活躍しやすいです。

ダートコースで重馬場になると足抜けが良くなるというのはイメージしづらいかもしれませんが、カラカラに乾いた砂浜と、波打ち際の水分を含んだ砂浜の違いをイメージしてもらうと理解しやすいのではないでしょうか。

最後に「不良馬場」ですが、近年は芝コースの水はけが良くなってきており、不良馬場になることはほとんど無くなりました。
不良馬場になる状況というのは、豪雨が降り続いている場合など、ごく限られた状況の時に限られます。

芝コースはよりパワーやスタミナが必要となり、ダートでもさすがにここまで多くの水分を含んでしまうと、重馬場よりはパワーやスタミナを要する馬場状態となります。

短距離の重馬場が得意な血統を紹介

短距離の重馬場が得意な血統を紹介

ここからは芝コースにおける重馬場で好成績を残している競走馬を距離別に紹介していきます。
各種牡馬について、強壮な時代の実績を掘り下げながら、重馬場で産駒が好走しやすい理由を探ってみることにしました。
まず短距離の重馬場で活躍している競走馬は「イスラボニータ」「リオンデイーズ」の2頭です。

イスラボニータ

イスラボニータは2013年から2017年にかけて活躍、G1レースは皐月賞を制したほか、G2レースも複数勝利しています。
更に重賞レースは2,200mから1,400mまで幅広い距離で活躍しているのは特筆すべき点でしょう。

稍重以上の成績を確認してみると、もともとこの馬が大崩れしていないということもあるのですが、稍重や不良馬場でも5着以下になっておらず、馬場状態が悪くてもしっかりと走る競走馬だったことが分かります。
特に不良馬場だった富士ステークスでも2着になっているのは評価すべき点でしょう。

リオンディーズ

リオンディーズはキングカメハメハ産駒の競走馬で2歳時に「朝日杯フューチュリティステークス」を制しました。
そのまま春のクラシック戦線に進みましたが、同期にエアスピネル、マカヒキ、サトノダイヤモンドといった強豪が出走していたということもあり、皐月賞、日本ダービーを勝利することはできませんでした。

その後は脚部に故障が発覚したため休養を余儀なくされ、休養中さらに故障が悪化、競走馬としての復帰は絶望的と判断されたため、3歳にして引退、種牡馬となりました。
レース数が少なく、すべて良馬場での出走だったので、本馬の道悪適性に関しては判断が難しいというのが正直なところです。

マイルの重馬場が得意な血統を紹介

マイルの重馬場が得意な血統を紹介

続いてマイル距離重馬場で高い適性を持つ産駒は「ドゥラメンテ」と「絆」の2頭です。
特にドゥラメンテは道悪等関係なく、2023年現在要注目の産駒となっているので覚えておきましょう。

ドゥラメンテ

ドゥラメンテは2015年の皐月賞、日本ダービーの2冠の制しており、そのまま走れば3冠も狙えるような高いポテンシャルを持っていたのですが、故障が発覚、4歳の中山記念までの休養せざるを得なくなりましたが、この復帰初戦を勝利します。

Sの語はドバイに向かい海外に挑戦しますが惜しくも2着、帰国後は宝塚記念に出走しましたが、ここでも1着のマリアライトにわずかに届かず2着となってしまいました。

その後、再び故障が発覚、競走馬としての復帰は難しいという判断が下されたため種牡馬となったのですが、2021年に急性大腸炎を発症、わずか9年の障害を閉じることとなったのです。

そのためドゥラメンテ産駒の競走馬はそれほど数が多くないのですが、タイトルホルダー、スターズオンアース、リバティアイランドと毎年のように一線級の競走馬が登場しています。
ドゥラメンテに関してもレース数が少なく、稍重で2戦走っただけなので、馬場適性についての調査はできませんでした。

ただし、リオンディーズと同じくドゥラメンテもキングカメハメハ産駒の1頭であり、キングカメハメハの能力を受け継いでいるからこそ、重馬場でも活躍する産駒を多く輩出しているのでしょう。

キズナ

キズナは大種牡馬であるディープインパクト産駒の1頭であり、キズナという馬名は2011年3月11日に発生した東日本大震災をきっかけに多く使われる世になった「絆」が元となっています。

デビューから2連勝するも、騎乗していた騎手が引退を余儀なくされる負傷を負ったため、乗り替わりを余儀なくされます。
そこで白羽の矢が立ったのが、ケガによる負傷の後、スランプに陥っていたスター騎手、武豊騎手でした。

乗り替わり後の2戦は勝つことができず、皐月賞出走はかないませんでしたが、毎日杯、京都新聞杯を連勝して日本ダービーへの出走権を獲得しました。

そして本番では後方から強烈な末脚を炸裂させて勝利、武豊騎手のダービー5勝目をプレゼントすることとなりました。
後に武豊騎手はキズナと勝利した日本ダービーが間違いなく復調のきっかけになったと話しています。

意向もニエル賞1着、凱旋門賞4着など常に上位に入る活躍を見せていたのですが、5歳の時に脚部を故障し、天皇賞春は7着と唯一掲示板を外す結果となり、その後引退して種牡馬となりました。

キズナに関しては、フランスのレースであるニエル賞に勝ち、凱旋門賞でも4着と、明らかに重馬場でも強いというのがレース結果にも顕著に現れています。
しかもニエル賞は重馬場という過酷な条件での勝利であるというのも特筆すべき点でしょう。

中距離の重馬場が得意な血統を紹介

中距離の重馬場が得意な血統を紹介

中距離の重馬場で好成績を記録している産駒はオルフェーヴルとノーリスの2頭です。
2頭ともその世代を代表する競走馬なので、競馬ファンで名前を知らないという人はいないのではないでしょうか。

オルフェーヴル

オルフェーヴルは史上7頭目のクラシック3冠、凱旋門賞2着2回、有馬記念を2度勝利という歴代の競走馬においてもトップクラスの実績を持っているだけではなく、「金色の暴君」と呼ばれるほどのヤンチャっぷりでも人気を博していました。

競走馬としての実績は多くの人が知るところなので説明は省きます。
馬場状態の競走実績を見ると、まずデビュー戦が重馬場となっています。

そして、日本ダービーは不良馬場での激走による勝利、阪神大賞典では稍重という状況で更に歴史的な大逸走をしたのちの2着と、馬場状態が悪くてもまったくものともしないパフォーマンスを発揮していることは明らかです。

実は競馬ファンの間では「オルフェーヴルはもともとダート馬でそれがたまたま芝レースでも傑出した成績を記録しただけではないか」という話もあるほどで、重馬場でも強い競走馬が多数輩出されるのもうなずけます。

モーリス

モーリスはマイルチャンピオンシップ、香港カップをはじめとしてG1レースを6勝しており、特に4歳以降の古馬になってからの実績が凄まじく、なんとすべてのレースで連対を外していません。

馬場適性に関しては稍重で度走ったのみで残りは良馬場となっていたため、本馬が重馬場でも強いのかどうかの判断は少し難しいです。

ただ、父馬のスクリーンヒーローが重馬場でもそれなりの実績を挙げているので、重馬場に強いのはスクリーンヒーローの影響も多少あるのかもしれません。

長距離の重馬場が得意な血統を紹介

長距離の重馬場で狙うのであれば、ゴールドシップ産駒1択です。
ゴールドシップはとにかく無尽蔵のスタミナが持ち味の競走馬であり、勝利したG1レースも菊花賞、天皇賞春、有馬記念、宝塚記念と、タフさを求められるレースばかりとなっています。

本馬自体はほぼ良馬場でのみのレースだったため、重馬場にも適性があるのかについては不明ですが、スタミナが桁違いとなっているので、恐らく重馬場になってもスタミナで押し切るだけのポテンシャルは十分秘めていたのではないでしょうか。

芝コース非根幹距離の重馬場を得意とする血統

芝コース非根幹距離の重馬場を得意としているのは「ルーラーシップ産駒」です。
香港G1のクイーンエリザベス2世カップを制したほか、アメリカンクラブジョッキーカップを2勝、日経新春杯を勝利など、数々の国内重賞レースを制しました。

種牡馬としてもキセキが菊花賞を制したほか、近年ではドルチェモアが活躍するなど着実に実績を積み上げています。
馬場状態の適性を見ると、道悪でも強いのは明らかで、不良馬場の金鯱賞、アメリカンクラブジョッキーカップで勝利、重馬場の日経賞でも3着と、不良馬場以上の馬場では必ず馬券圏内に入っています。

ダートコースの重馬場を得意とする血統

ダートコースの重馬場を得意とする血統

続いてダートコースの重馬場を得意とする血統として特に注目しておきたい3頭を紹介します。
3頭とも国内外のダート戦線で類稀なる活躍をしており、元々競争能力は高いのですが、不良馬場になると更に長所が伸びるため、好成績を残していると考えられます。

スマートファルコン

スマートファルコン(引用元:JRA-VAN)

スマートファルコンは、JBCクラシック、東京大賞典、帝王賞をはじめとするG1クラスのレースを制しただけではなく、地方競馬の重賞レースを多数勝利している日本競馬界を代表するダートホースの一頭です。

特にスタート直後に先頭に立った時の安定感は抜群で、どちらかと言えば逃げに近い走りを得意としていました。

馬場適性を確認してみると、重馬場以上で掲示板外となったのは5歳の時の浦和記念のみで(ダートレースでは引退レースのドバイワールドカップに次ぐ下位着順)、それ以外は全て連対しているという好成績を残しています。

ホッコータルマエ

ホッコータルマエも日本競馬界を代表するダートホースの一角で、日本競馬史上初めてG1クラスのレースを10勝しました。
重馬場以上の馬場状態でのレースは9戦していますが、馬券外になったのは2016年の帝王賞のみであり、それ以外は全て馬券圏内と、道悪では圧倒的な強さを発揮しています。

ディスクリートキャット

ディスクリートキャット(引用元:youtube)

ディスクリートキャットはアメリカで活躍した競走馬です。
デビュー戦、2戦目を勝利すると、3戦目はドバイへ遠征して「UAEダービー」に出走、ここで6馬身差をつけて圧勝します。

アメリカに戻るとクラシックレースには出走せず8月まで休養、休養明けの2レースともに10馬身以上も差をつけて勝利、11月に「シガーマイルハンデキャップ」に出走すると、ここでも2位に3馬身差以上をつけて完勝、この勝利がG1レース初制覇となりました。

よく2007年にはダートレース最高峰のひとつ「ドバイワールドカップ」へ出走、これまでの無双ぶりから期待されていましたが、直前で熱発によって当初出走を予定していたレースを回避するなど本調子ではないままれ0須本番を迎えることになったこともあって、7着と初めての敗北を喫してしまいます。

その後、のどに肉芽腫を発症していることが判明、治療のため半年間休養しましたが、なかなか調子が戻らず、4歳の10月末をもって引退、その後種牡馬となりました。

本馬はマイルから中距離ダートで主に活躍した競走馬ですが、産駒は短距離と中距離あたりの距離で活躍、特に短距離での重馬場には高い適性を持っています。

重馬場に有利な血統のデータはあまり参考にならない

重馬場に有利な血統のデータはあまり参考にならない

ここまで重馬場で好成績を残している産駒について解説してきましたが、正直な話をすると重馬場に有利な血統のデータというのは芝レースほど信用できるものではありません。

なぜかというと、良馬場の時のデータと重馬場の時のデータでは圧倒的に実数が異なるからです。
特に近年はコースの水はけがかなり改善された事もあって、重馬場になる事自体が以前と比べると少なくなりました。

これからはより重馬場のデータ自体収集しづらくなっていく事でしょう。
馬場による血統の差はあくまでも参考程度に考えておき、実際に重馬場に強いかどうかは各競走馬のこれまでの成績をチェックして判断する事をおすすめします。

2023年血統は群雄割拠の状態

2023年血統は群雄割拠の状態

2023年時点で抜けた成績を残している産駒というのは今のところ存在していません。
日本競馬界では、一昔前はサンデーサイレンス、少し前はディープインパクトという大種牡馬が存在しており、一時期重賞レースは同じ産駒の競走馬しかレースに出ていないという状況になっていましたが、現在は様々な産駒の競走馬が集結するようになりました。

キタサンブラックとドゥラメンテ産駒が高今成績を残してはいるものの、大種牡馬といえる活躍はまだできていません。

血統に関しては群雄割拠の状態であり、また数年後にはアーモンドアイ、グランアレグリア、コントレイルといった稀代の名馬の産駒達が登場するので、ますます混沌とした状況になるでしょう。

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まとめ

競馬における重馬場とは、雨などによってコースが多大な水分を含んでいる状況であり、重馬場になると芝コースではパワーとスタミナが、ダートコースでは逆に足抜けが良くなるのでスピードに長けた競走馬が活躍しやすいです。

今回は芝コースとダートコースで重馬場の時に活躍が期待できる産駒を紹介しましたが、重馬場になる事はあまりないため良馬場の時と比べるとデータの数値には信頼性があまりありません。

産駒による適性はあくまでも参考程度としておき、道悪に強いかどうかは実際にその競走馬のこれまでの実績などを確認してから判断しましょう。

  • この記事を書いた人

中森

競馬歴22年の中森です。 競馬だけで生活しています。 独自のリサーチと情報収集力で競馬予想サイトの真偽を見極めるコラムを執筆しております。
競馬予想に役立つような情報を発信中。

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