競艇コラム

即日帰郷は競艇の罰則の中でも特に厳しい罰則!命じられる条件とは?

即日帰郷は競艇の罰則の中でも特に厳しい罰則!命じられる条件とは?

競艇選手は公営競技というギャンブルの勝敗を決める重要な役割を担っているため、多くの規則を順守しながら戦わなければなりません。

本記事では競艇選手に言い渡される罰則のひとつである「即日帰郷」を取り上げ、そもそも即日帰郷という言葉はどこから誕生したのか、そして競艇における即日帰郷とはどういった罰則で、どのような条件の時に言い渡されるのかを解説します。

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即日帰郷は元々日本軍で用いられていた制度

即日帰郷は元々日本軍で用いられていた制度

即日帰郷という単語がそもそもどのようにして生まれたのか知っている人はいるでしょうか。
即日帰郷というのは実はかつて日本にあった「徴兵制度」において誕生した言葉です。

徴兵制度があった当時の日本では男性が徴兵の対象となる年齢に達すると陸軍または海軍から入隊通知が送られ、それを受け取った男性は半ば強制的に軍人として日本軍に赴かなければならなくなります。

ただし、入隊前の身体検査において身体が不自由などといった理由で兵士として戦うことが不可能と判断されたり、合格したとしてもその後思想的に軍に大きな悪影響を及ぼしたり、精神的に兵役に耐えられないだろうと判断された場合、陸軍では2年、海軍ならば3年の兵役に従事することなく除隊命令を受け、帰郷するよう命じられました。

これが「即日帰郷」です。
即日帰郷を言い渡された人たちも実際に故郷に戻ったのはごくわずかで、大部分は勤労報告隊という別の隊に配属され、兵器などを製造する軍需工場で作業に従事していました。

競艇における即日帰郷について

競艇における即日帰郷について

競艇における「即日帰郷」とは、元々の意味のように選手が出走できない状態であることを理由に帰宅させるような制度ではありません。
競艇における「即日帰郷」とは、選手が規定の違反行為をした際に言い渡される「罰則」のひとつです。

即日帰郷が言い渡されるとどうなる?

即日帰郷が言い渡されるとどうなる?

即日帰郷を言い渡された選手は、まだ出走するレースが残っていたとしても地元に帰らなければなりません。
厳密にいうと、その日に出走する予定があるレースには出走できるものの、その選手が翌日以降もレースが残っている場合であっても翌日以降のレースに関しては即日帰郷が言い渡された時点で出場停止となってしまいます。

例えば6日間の日程で開催されるレースに出走して2日目の第2レースに「即日帰郷」が言い渡され、その日は第6レースと第10レースに出走する予定だったとします。

この場合、第6レースと第10レースには出走可能ですが、3日目以降のレースには一切出場することができず、2日目の第10レースが終了した時点で荷物をまとめ、地元に帰郷しなければなりません。

即日帰郷になる条件

即日帰郷になる条件

レースに出て勝利することが仕事である競艇選手にとって、レース自体に出走できなくなってしまう即日帰郷はかなり厳しい罰則であることが何となく理解できたのではないでしょうか。

では具体的にどういった違反行為をすると即日帰郷が言い渡されるのでしょうか。
本項目では即日帰郷が言い渡される条件について3つ紹介します。

前検で不合格となってしまった

競艇ではレースに出走する前に必ず「前検」といって検査を実施します。
前検では私物チェックと身体検査をおこない、携帯電話等外部へ連絡できるものはすべて回収されます。
その後モーターの抽選をおこない、試運転等をするというのが前検の一連の流れです。

この前検において、何らかの理由で不合格となってしまった場合、そのレースに出走する権利そのものを失ってしまうということになるので、その瞬間に即日帰郷が言い渡されます。
具体的には、以下の4つが前検において即日帰郷となってしまう主な要因です。

前検で即日帰郷となる主な要因

  • 持ち込んではいけないものを持ち込んでしまった
  • 選手にとっての免許証である「選手登録票」を忘れてしまった
  • 体重が規定に達していなかったなど身体検査で不合格となってしまった
  • 前検の時間に遅れてしまった

このうち、特に最後の前検の時間に遅れてしまった場合の罰則は非常に重く、即日帰郷を言い渡されると同時に罰金と一定期間のレース出場停止が言い渡されます。

特にSGレースやG1レースに出場できるA1級選手は即日帰郷となって以降1年間G1レース・プレミアムG1レース・SGレースに出走できなくなるという非常に痛いペナルティを被ることになります。

ただし、遅参に関しては台風など天候によるものだったり、列車事故による急なダイヤの乱れなど、選手自身ではどうすることもできないようなケースであれば上記対象とはなりません。

とはいえ公平性を重要視するため、レースの出走そのものは認められない場合が多いですが、やむを得ない事情であると判断された場合は翌日からのレースに出走可能となるケースもあります。

選手自身によってスタート事故を起こしてしまった

選手自身によるスタート事故といえば「フライング」「出遅れ」があります。
スタート事故を起こしてしまった時点で30日間の出場停止という厳しい処分が下されますが、同一出場節において2回目のフライングまたは出遅れを喫してしまった場合は即日帰郷の対象となってしまいます。

即日帰郷となるうえに、2回フライングをしてしまうと60日間の出場停止となるため、選手にとっては非常に痛い罰則といえるでしょう。

同じ節で2度失格してしまった

周回方向、周回の誤認、タイムオーバー、危険な転舵、緊急避譲義務違反、転覆、沈没、落水等を犯した場合はその時点で失格扱いになってしまいますが、同一節で2回失格となってしまった場合もその時点で即日帰郷が言い渡されます。

選手が即刻帰郷を言い渡されて被るリスク

選手が即刻帰郷を言い渡されて被るリスク

即日帰郷が言い渡されると、レースが残っていても帰宅せねばならないというのは先に解説した通りです。
競艇選手にとって、即日帰郷というのはどういったリスクを被ることになるのでしょうか。
本項目では競艇選手にとって即日帰郷がどういったデメリットがあるのかを詳しく解説します。

収入が減少する

レースに出走できないということは、その分の収入が一切なくなってしまうため、即日帰郷になると単純に収入面で選手自身は大きなリスクを被ることになります。

競艇では1着になれば一般戦の予選でも8万円または10万円の賞金が出ます。
一般戦は4着以下は賞金が出ませんが、競艇では賞金がもらえなくてもゴールまで完走すれば「完走手当」が支払われます。

それ以外にもさまざまな日当が支払われるので、特にレースに出る機会が少ないB2級選手にとって手当は貴重な収入源となっているのですが、これら手当もレースに出走できなければ当然受け取ることができません。

また、賞金ランキング争いをしているトップレーサーにとっても賞金額を積み重ねることができないというのは年末に開催される「賞金王決定戦」への出場権利が遠のくこととなってしまいます。
特にSGレースで即日帰郷が言い渡された際のダメージは計り知れないものとなるでしょう。

状況によってはランクが下がることも…

一部の選手にとって、半期が終了する直前で「即日帰郷」となってしまうと、賞金を得ることができない以上の深刻なペナルティを被ることとなります。
競艇選手は半期ごとに「出走レース数」と「勝率」が定められた数値に達していない場合は級別が下がってしまいます。

そのため、ランクが下がるかどうか、または上がるかどうかのギリギリの位置にいる選手は1レース1レースに出走すること、そして勝つことがその先の収入の増減に大きく影響するのですが、そのレースに出走できなくなる「即日帰郷」は何としても避けなければならない罰則のひとつです。

更に重い「即刻帰郷」という罰則もある

更に重い「即刻帰郷」という罰則もある

即日帰郷とよく似た言葉に「即刻帰郷」があります。
即日帰郷はその日に出走予定のレースが残っているのであれば出走することが可能ですが、「即刻帰郷」を言い渡された場合は文字通り残りのレースが残っていたとしても出走することができず、即刻荷物をまとめて帰らなければなりません。

即刻帰郷は故意にほかの艇にぶつけて転覆させたり、大きくスピードを落とさざるを得ないような進路妨害をするなど極めて悪質な反則を犯した場合や、フライングに気づかずにそのままレースを続けてしまうなどといった場合に言い渡されます。

選手自身が自ら途中でレースを離れる場合は「途中帰郷」

選手自身が自ら途中でレースを離れる場合は「途中帰郷」

帰郷には「即日帰郷」「即刻帰郷」のほかにもうひとつ「途中帰郷」があります。
途中帰郷とは選手自身が自らレース途中で帰郷することを宣言することを意味します。

例えばレース中にケガをしてしまったり体調を崩してしまってレースを続けることが不可能になった際に途中帰郷すると宣言し、レース途中で帰宅することになります。

そして、4月または10月の下旬は級別審査期間の締めとなっており、昇給するか降格するかギリギリの位置にいた選手が昇格または降格が決定的となった際、残りのレースには出走せずに途中帰郷を宣言して帰宅するというケースもあります。

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まとめ

即日帰郷はもともと日本軍の徴兵制度において使用されていた言葉で、徴兵時の検査において兵役を全うすることができないと判断した相手に対して帰還させる事を意味していました。
競艇における即日帰郷は罰則のひとつであり、以下条件を満たした際に即日帰郷が言い渡されます。

即日帰郷の条件

  • 前検不合格
  • フライングまたは出遅れを同一節で2回
  • 反則行為を2回

即日帰郷になるとその日のレースには出走可能なものの、翌日以降のレースには一切出ることができず、地元に帰ることになります。
競艇選手にとってレースに出られないというのは収入源が絶たれることとなるので、非常に痛い罰則といえるでしょう。

また、帰郷には悪質な反則やフライングに気づかずレースを続行した場合などに言い渡され、その日のレースが残っていてもすぐに帰宅しなければならない「即刻帰郷」、選手自身が何らかの理由で自らレース途中で帰郷することを宣言する「途中帰郷」があります。

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  • この記事を書いた人

近藤

競艇歴15年の近藤です。競艇だけで生活しています。
独自のリサーチと情報収集力で競艇予想サイトの真偽を見極めるコラムを執筆しております。
競艇予想に役立つような情報を発信中。

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