競艇で選手が勝利を納めるのに必要なのは、「腕」や「枠」そして「運」などもあります。
しかし、最も大切なのは「モーター」です。
モーターの良し悪しは勝負に大きな影響をもたらすわけですが、「引きの強さ」もここでは必要になってきます。「引き」に関しては後程説明していきたいと思います。
今回は艇の「心臓部分」であり、勝利を勝ち取るために最も重要な「モーター(エンジン)」について解説していこうと思います。
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目次
『競艇』で使われるモーターの概要紹介!
これがなければ始まらない、競艇のエンジンとなる「モーター」。
これが艇に取り付けられる前のモーターです。
『300型モーター』と言って、水冷2サイクルガソリン機関の縦型直列2気筒エンジンです。
減音のため、サイレンサーが装着されています。以前はサイレンサーはついていなかったのですが現在のエンジンには全て装着されています。
このモーターを製造しているのは群馬県にある「ヤマト発動機株式会社」で、均一性能のモーターを年間約1500機、各競艇場などに出荷しています。
ちなみにモーターですが年一回新品に入れ替えられゼロからスタートします。入れ替え時期は場によって異なっています。
モーターに関する豆知識!
ここからモーターに関する豆知識をいくつかご紹介します。
運も実力のうち!モーター抽選
1節間の間各選手が使用するモーターは、前日検査(前検)に抽選によって決まるものです。この抽選の際に、使用ボートの抽選も行われます。
抽選で手にしたモーターの交換は1節間ないわけで、この抽選によって素性の良いモーターを引くことこそが、勝利を勝ち取るための「第一関門」となるわけです。
モーターには個々に個性がある
「均一性能のモーター」が納品されていると先に記載しましたが、出走表の「モーター」の欄を見ると勝率などがバラバラなのが分かると思います。
レース中の転覆などによってモーターに水が入ってしまうと部品の交換などをすることになります。モーターの部品交換などを行った場合、性能は若干でも狂ってきてしまうものです。
またレースの開催中はモーター整備が選手には許可されているので、整備されたことに酔っても性能が変わってきてしまいます。中には整備が苦手で整備はそこそこにしか行わない選手もいます。
モーターの「個性」とは、「出足」がいいのか「伸び」がいいのか「回り足」がいいのかということです。
- 『出足』・・・低速からの加速が良いかどうかを示します。
- 『伸び』・・・直線でのスピードの伸びを示します。
- 『回り足』・・・ターンのしやすさを示します。
1~3枠の艇はスロースタートになるため『出足』が重要になり、4~6枠の外枠の艇はダッシュスタートになるために『伸び』が重要になってきます。
『出足』はスタート展示、『伸び』・『回り足』は展示航走にてある程度は把握が可能です。
気温・水温によって出力が変わってしまう
「気温が変わってしまって・・・もう一度整備を見直す」という選手の言葉を目にすることがあると思います。
これは気温変化によってモーターの体積効率が変わってしまうことから見られる言葉です。
一般的に気温が低下すると出足が強くなり内枠が有利に、気温が上昇すると出足が弱くなり、まくりやまくり差しが決まりやすくなると言われます。
節間での気温の変化には注意が必要になってきますが、あまり極端に気にしすぎるのもどうかと思われます。
選手の感覚・整備力が問われる、モーター整備・プロペラ調整
抽選で手にしたモーターですが、そのまま使用しなくてはならないわけではありません。
機力が低かったり、選手に合わないようなタイプだった場合は「整備」することが許されています。
これが「部品交換」となるわけですが、これこそが選手の腕が光る部分で、モーターのどこを変えるべきか、変えなくていい部分はどこなのかを精査しながら行うものです。
ただし、「モーターの性能は均一」というのが大前提です。選手が交換を行っているのは機力が落ちてしまっているモーターを100%近くまで引き上げるという作業になります。
モーターの部品交換
極端な話ですが、一節間ありとあらゆる部品交換を試し続けて上を目指すという場合も存在しています。
交換情報はレース前に発表されますので注意が必要になってきます。
部品交換を行っていいのは
- プロペラ
- ピストン
- リング
- ギヤケース
- キャブレター
- 電気一式
- クランクシャフト
- シリンダーケース
- キャリアボデー
と多岐に渡っています。
ピストン
上下2つのピストンのバランス調整の意味合いが強いのがピストン交換です。効果としては「出足が良くなる」こともあるという事です。
新品・使用済みのピストンどちらとも交換することが出来ますが、最終的な決定は選手にあり、長年の経験や知識などが必要になってきます。
ピストンリング
ピストンが円滑に動くように補助したり、隙間から混合気が漏れるのを防ぐ役割を持っています。
消耗品になるため、交換頻度としては他の部品よりも高くなります。
新品・中古どちらとも交換可能ですが、新品だとなじむまでに時間を要するので中古に交換する選手の方が多いようです。
ギヤケース
プロペラと直結する部分になるのがギヤケースになります。各選手が感覚を気にするため、最も神経を集中させる部分になります。
キャブレター
ガソリンと空気を混ぜた混合気をモーターに噴出する装置になります。
ガソリンを正常に噴出してくれないと正常なエネルギーが得られず、不完全な噴出ではエネルギーロスにもつながります。
交換のメリットとしては燃料効率がよくなり、パワーアップに繋がる点です。
電気一式
シリンダーに送りこまれた混合気に引火させる点火プラグに電気を送り込む部品です。
一部だけを交換することが不可能なので交換の際は「一式」と表示されます。
正常な電気発火によってパワーアップを目指す為に交換されます。
クランクシャフト
モーターの回転軸となる部分で、モーターの「心臓部」といえる場所です。
滅多に交換されることはなく、交換する際にも時間のかかる部分です。
部品交換を色々と試しても、モーター性能が上がってこない場合に交換作業が行われることが多いので、交換がされる際にはモーターによほど問題があると察知できます。
シリンダーケース
中のピストンとの摩擦によるすり減りが、出力に大きく関係してきます。
選手は感触を確かめながら、よりなめらかに動くように交換をします。
キャリアボデー
「エンジン」と「プロペラ」の間にある全体の部分で、モーターの胴体に当たる部分です。
排気ガスの通り道になり、各部品との接続状況が出力に影響を及ぼします。
プロペラ交換・調整
モーター同様に選手たちが手を付けることが出来る部分です。交換に関しては基本的には行われません。
転覆などによって破損してしまった場合などのみ交換が可能です。
選手たちは個々で「好み」などが存在します。現在は各場そなえつけのプロペラを使用していますが、以前はプロペラは選手たちの持ち物でした。
選手たちは備え付けのプロペラを好みの形に叩いて使用しています。
このプロペラの形状も艇の状態に大きく影響を及ぼします。「出足型」なのか「伸び型」なのか、「回り足」はどうなのかと言った具合にです。
競艇のモーター|まとめ
正直なところ、部品の交換をおこなってもどこまで立ち直っているのかを判断するのは難しいことです。
これはキャリアが大きく影響を及ぼす作業です。
ファンとしてモーターの状態を判断できるのは「スタート展示」および「展示航走」となります。
全ての部品でどうなるのかは覚えにくいので、「展示」を活用しモーターの状況を見極められるようになれたらと思います。