競輪の投資術について考察。競輪だけで生計を立てることは果たして可能か？

競輪の投資術について考察。競輪だけで生計を立てることは果たして可能か？
相次ぐ日用品の値上げ、上がらない給料、その一方で上がり続ける税金と、ことお金に関しては将来的に不安要素が沢山あります。

そのため、数年前から多くの人が投資に興味をもちだし、実際に少しずつ投資を初めている人も出てきています。
そこで本記事では競輪が投資の手段として活用できるかどうかを考察していこうと思います。

競輪投資で生計を立てられれば…と考える人は多い

競輪の車券を購入している人で「競輪が嫌いだ」という人はいないでしょう。
競輪関連の記事を書いていてこんな事を書くのも間違っているかもしれませんが、人気や知名度の高い競馬や競艇ではなく競輪の車券を買っているという時点で相当の「公営競技好き」です。

恐らくほとんどの人が「仕事もせず競輪だけで生活できたらどれだけ幸せだろう」と考えているのではないでしょうか。
仕事をせずに競輪の配当金だけで生計を立てる、それは紛れもなく「競輪投資」の完成系と言えるでしょう。
つまり競輪を投資手段にするというのはあらゆる競輪ファンにとって理想の生活スタイルなのです。

競輪が投資になるのか結論

競輪ファンの理想系である「競輪投票」ですが、そもそも競輪を投資の手段の一つとする事自体が可能なのかについて、まずは考えてみる事にしましょう。

仕組み上競輪は投資に該当する

まず競輪が投資に該当するかどうかですが、結論から言うと仕組み上では競輪は「投資」に該当するという事になります。
「投資」とは、「利益が出ると予想したものに対してお金を投じて投じたお金以上の収益を得る事」です。

例えば投資で最も有名な株式投資は、儲けるだろうと予想した企業の「株券」という権利を購入します。
その企業が業績を上げて利益を出せば、株式を持っている人には「配当金」という形でお金が支払われるため利益を得る事ができる、というわけです。

競輪は出走している選手の中から2着または3着以内に入るであろう選手を選んでお金を支払い、「車券」を買います。
その車券には「オッズ」という配当割合が予め定められており、購入した車券通りの結果になれば支払った車券代にオッズを掛け算した金額が配当金として支払われるというわけです。
仕組みだけを見れば、まさに投資と全く同じである事が分かります。

では投資手段にはなりうる？

この仕組みだけを見れば「競輪を投資手段にして生活していく事は可能だ！」と思ってしまうでしょう。
ところが現実はどうでしょうか。

この記事を見ているあなたは競輪だけで日々の食費や家賃などの生活費を稼げているでしょうか。
恐らく大部分の人が稼げていないでしょう。

それどころかトータルではマイナスになっている人が大半なのではないでしょうか。
自分だけではなく知り合いの競輪ファンも皆同じように競輪で生計などは立てられていないはずです。

これが現実であり、「理論上だと競輪での投資は可能だが実行するのは極めて難しい」というのが競輪投資における最終的な結論となります。

そもそも儲かりづらい仕組みとなっている

なぜ競輪投資を実現させるのが難しいのか、その理由をここからは一つ一つ解説していく事にしましょう。
まずそもそも仕組み上、競輪をはじめ公営競技というのは儲かりづらい仕組みとなってしまっているのです。

競輪のみならず公営競技で配当金として支払われるお金というのは元を正せば「私たちが車券を買うために支払った車券代」だという事自体知らなかったという人がいるかもしれません。
そして更に支払った車券代全額が配当金として使われている訳ではありません。

支払った車券代のうち、競輪の場合は一律25パーセントが「控除」として差し引かれて運営側の取り分となっています。
つまり車券代で1万円支払っても実際に配当金として私たちに渡されるのは7,500円だという事になります。

この75パーセントを奪い合うのが競輪だと認識すると、勝つ事が難しいという事がなんとなく分かるのではないでしょうか。
更に車券で年間合計20万円以上的中させた場合は確定申告などをおこなって「所得税」を支払う必要があります。

競輪ファンが思い描いている投資生活は非現実的

競輪ファンの多くが想像している「競輪投資生活」というのは恐らく「資産家」のようなライフスタイルなのではないでしょうか。

朝起きてその日勝負するレースの車券を購入すればあとは結果が出るまでは自由な時間なので、行きたい所に行ったり食べたいものを食べるなどして好きな事をして過ごし、レースが終われば結果と収支を確認、翌日勝負するレースを決めたら再び自由な時間なので寝るまでのんびり過ごす…といったルーティーンを思い浮かべているはずです。

しかし現実はそんなに甘いものではありません。
ここからはリアルな競輪投資生活について考察していく事にしましょう。

投資は短期的に稼ぐものではない

まず投資というのは短期的に稼ぐものではありません。
数年、数十年といった長いスパンで考えてトータルで利益が出るように計画を立て、実行していきます。

現時点で最も再現性が高いと言われているのが「インデックス投資」です。
インデックス投資とは投資信託を利用して資産運用する手法で、銀行の定期預金のように毎月コツコツと投資をしつつ、複利の力によってお金を増やしていきます。

このインデックス投資でも短期的に見ると年間10パーセント以上下落する事もあるので、短期的に一気に稼げるような投資というのはそもそも存在しません。
競輪で投資をする際にも短期間で大きく稼ぐのではなく、少しずつでも着実に増やすという視点でなければ成功しないでしょう。

投資を成功させるためには欲を排除する鉄の意志が必要

投資を成功させるためにはどんな事があっても動じずに同じように投資をし続ける「鉄の意志」が必要になります。
投資をしているとさまざまな欲に襲われますが、ここでは特に多くの人が負けてしまう欲について紹介します。

更に儲けようと欲を出してはいけない

投資を成功させるためには事前に目標を決め、その目標を達成するための計画を立てて地道に実行していく事が大切です。
しかし計画以上の利益を得ると人間というのは「更に利益を得たい」という欲が出てきてしまい、普通なら考えられないような勝負をしてしまう事が多々あります。

思わぬ利益を得ても一旦そのお金は自分の手元に置いておき、冷静に勝負できると判断した時に沢山投資するようにしましょう。
その方が着実に自分の資産を増やして結果的により早く目標を達成する事ができます。

負けを取り返そうという欲に負けてはいけない

これは投資というよりもどちらかと言えば競輪をはじめとした公営競技をやっていて襲われてしまう欲になるのですが、自分の購入した車券が不的中となってしまうと、どうしても「負けを取り返したい」という気持ちになってしまいやすいです。

この行動心理を「プロスペクト理論」というのですが、この行動心理に囚われてしまうと投資はほぼ確実に失敗します。
負けてしまった時はつい冷静さを失ってしまいがちですが、一度呼吸を整えて負けた分をどう取り返すか、改めて計画を練り直すのが最善策です。
というよりも、一度や二度負けたくらいで冷静さを失うような状態で投資をするべきではありません。

競艇で投資をするにはデイトレーダーのような毎日を送る必要がある

投資で生計を立てている人の中で「デイトレーダー」という人たちが居る事を知っているでしょうか。
「デイ＝毎日」「トレーダー＝取引きする人」という意味合いの通り、デイトレーダーはその日のうちに何度も株をはじめとした投資商品を売り買いする事で利益を出しています。

投資商品などは、分単位で値動きを繰り返すので、デイトレーダー達は「チャート」と呼ばれる値動きを表すグラフをじっと見つめ、1番底値になった時に購入し、1番高値になった時にすぐに買った商品を売るという日々を過ごしています。
競輪の投資生活は彼らデイトレーダーと似た日々を過ごさなければならないというのが実情です。

実際はどのような日々を過ごす？

競輪投資生活の真の姿とは一体どのような日々なのか、本項目で詳しく解説していきます。　

勝つ確率が高いレースを見つけるために時間をかけて情報収集する

朝起床したらすぐにパソコンを開き、その日のレースを全てチェックします。
とにかく的中する確率が高いレースを見つけるため、出走表を隅々まで見たり、出走している選手の直近の状況を調べたりなど、時間をかけて情報収集しなければなりません。調べる時間を考慮すると勝負できるレースは2つか3つが限界でしょう。しかしながら目論見通り的中するとは限らないので、ナイターやミッドナイトレースなど遅い時間に実施されるレースの中からも保険として勝負するレースの目星はつけておく必要があります。

その日のレースの傾向をリアルタイムでチェック

レースの選定が終わっても休む時間はありません。
引き続きその日のレース映像や結果を見ながら傾向をリアルタイムでチェックし、自分があらかじめ立てていた予想通りのレースになりそうかどうかを最終判断する事になります。

自分が買い目に選ぼうとしている選手が別のレースに出ているのであれば、その日の調子などを確認できる大チャンスです。
これを候補に入れている数レース分行わなければならないわけですから、レースが終了するまで休む間はほとんどないのではないでしょうか。

レース終了後は翌日勝負するレースへの目星をつけておく

レースが終了したら結果を確認します。
車券が的中して目標としていた利益が出たのであれば、その日の投資は成功となりますが、もしも不的中で損失が出た場合は目星をつけていたナイターあるいはミッドナイトレースで挽回するか、その日は終了して損失を受け入れるかを選択しなければなりません。

損失を受け入れるのであれば計画通りには進行していないので、負けた分を取り戻すために計画を練り直す必要があるでしょう。
一方で負けをその日に挽回するのであれば、目星をつけたレースで再び勝負する事になりますが、また出走表を見て情報収集しなければならないですし、もしも不的中となってしまった場合は更に損失が拡大し、取り戻す事が非常に困難となります。

全てのレースの結果を確認したら、今度はすぐさま翌日に車券を購入するレースの目星をつけなければなりません。
このレース選定にもかなりの時間が必要となるでしょう。
もしもミッドナイトレースの勝負までおこなっていたのであれば、翌日のレースの選定が終わる頃には丑三つ時はとっくに過ぎてしまっているでしょうから、睡眠時間もかなり少なくなってしまいます。

人と会う時間もほとんどないうえに悩み相談もしづらい

競輪投資生活の真の姿について理解してもらえたでしょうか。
この生活を目標達成して自分自身で「もう競輪投資で生活しなくても大丈夫」と判断するまで継続する事になります。

いかに競輪ファンといえども、競輪投資生活を続行し続けるのは相当な覚悟が必要なのが分かるでしょう。
恐らくですが、私たちが思い描いていた競輪投資生活のように自由に外出する時間はおろか、ほとんど缶詰め状態で人と会う時間を確保する事すら難しいでしょう。

そして「競輪の投資で生活している」などとはいかに親しい友人であっても言いづらいでしょうし、ましてや悩み相談などできるわけがありません。
ストレスを発散する時間もなければ愚痴を言える相手も居ないので、悩みや不安などは全部自分自身で消化せざるを得ないでしょう。
いかに強靭な精神力を持っていたとしても、このような生活を継続していては少しずつ精神を病んでしまう恐れがあります。

まとめ

競輪投資生活について考察してみましたが、私たちが想像する「資産家」のような生活とは真逆の、非常に過酷な毎日を強いられる事が分かりました。
そんな過酷な日々を過ごしていても、予定通り計画が進むとは限りません。

不的中となって損失が出てしまった場合はその時点で計画が崩れてしまう事になるので、損失を挽回できるように計画を再構築していく事になります。

朝起きてから夜寝るまでほぼ一日中画面に張り付いてレースに勝つための情報を収集し続けて渾身の予想を常に出さなければなりませんし、上手くいかなくても誰にも相談したり悩みを打ち明ける事ができないなど、肉体的にも精神的にも非常にハードな生活を目標達成まで送り続けなければならないのです。